どんなことを学べますか?
生物工学科は、生物の仕組みを“工学的な視点”から理解し、社会に役立てていく学科です。一概に「生物」といっても、植物や動物、そして目に見えない微生物まで多岐にわたります。それぞれの生き物がもつ機能や性質を、化学・タンパク質・アミノ酸などの多面的な視点から探究し、基礎研究から応用研究へと幅広く展開していくことが特徴です。
例えば、抗菌薬などの薬は、もともと微生物がつくる化合物から生まれたものです。微生物がどうしてその化合物を作り出すのか――その仕組みを明らかにすることが、やがて新しい薬の開発や、健康に役立つ食品研究へとつながっていきます。
また、CO₂を固定する植物の力を活用し、環境課題の解決につなげる研究も行っています。地球温暖化の要因となるCO₂を、植物が光合成を通じて吸収・固定し、有用な物質に変換する「二酸化炭素固定」の仕組みを応用し、植物を使って資源を生み出す可能性を探っているのです。こうした研究では、まず植物がどのようにCO₂を固定するかという基礎的な理解が不可欠で、その上で「植物に何を生み出させるか」という応用的な課題に取り組みます。基礎と応用の両輪が噛み合ってこそ、新しい技術や製品の創出が始まるのです。富山県立大学では、企業との共同研究も多く、社会と連携しながら学びを深められる環境が整っています。
生物工学科 高田 啓 講師
応援メッセージをください。
進路を決めるときに、最初から「これをやりたい」と明確に決まっている人は少ないと思います。「なんとなく好き」「ちょっと興味がある」そんな気持ちを大切にしてほしいです。
生物工学科には、さまざまな専門分野の先生がいて、多様な研究に触れられます。入学後に本当に好きなことを見つけて、深く掘り下げていけるのがこの学科の魅力です。“好き”を大切に、学びを楽しみながら探求していってください。大学生活は、「好き」を見つけ、伸ばせる時間ですから。
私の研究室では、ゲノム工学や生物情報学を中心に、抗生物質耐性のメカニズムや微生物の多様な能力について研究しています。
遺伝子は、生き物が生きるための「設計図」。そこには有用な情報もあれば、人間にとって有害なものもあります。こうした膨大な遺伝子情報を整理・解析し、新しい生命現象の理解や薬づくりに活かすのが「生物情報学(バイオインフォマティクス)」です。
たとえば、抗生物質が効かなくなる「耐性菌」の問題は、2050年にはがんよりも多くの命を奪うと予測されています。私たちは、遺伝子レベルで抗生物質の作用機構や耐性の仕組みを明らかにするとともに、新しい薬の候補物質を探し出す研究を行っています。
さらに、微生物のもつ多様な能力を活かし、化学製品を環境にやさしい方法で作り出す「合成生物学」の研究も進めています。遺伝子の情報を組み合わせることで、これまで自然界に存在しなかった“スーパー微生物”をつくり出す――そんな新しい技術の可能性にも挑戦しています。
学生の雰囲気はいかがでしょうか。
学年の人数は40名ほど。3年後期まで全員で同じ授業を受けるため、学年全体のつながりがとても強いです。元気な女子学生が多く、男子学生も刺激を受けながら協力し合っています。
生物工学科は「これしか興味がない」というよりも、幅広い分野に関心を持つ柔軟な学生が多い印象です。実習やレポートなど大変な時期もありますが、図書館でグループ学習をしたり、互いに助け合いながら学んでいます。
教員1人あたりの学生数が少なく、担任制による面談など、教員との距離が近いのも特徴です。学習や生活での悩みを気軽に相談できる環境が整っており、県外から来た学生も安心して学べます。
※記事内の情報は取材時点のものです