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月刊ドンマスMonthly “DON-MAS”

Monthly “DON-MAS” Vol.41
DX教育研究センターで「計測工学」を研究している、知能ロボット工学科の伊東聡准教授にインタビュー!

「測ること」に対峙し、日々研究を続けている伊東聡(いとう・そう)准教授。熱く語るその口から最も多く出てきたのは「誤差」という言葉でした。計測精度を追求し続ける伊東准教授の姿勢が、しっかりと見えたインタビューになりました。

計測において必ず発生する、誤差。大切なのはその程度を調べ、原因を追究することです。

私の専門分野は「計測工学」です。機械部品や工業製品の形や大きさを計測し、誤差が生じる原因の究明が主な研究です。また、幾何公差と呼ばれる形状や位置関係の誤差、例えば、円の歪みや面の平らさに関する計測も行っています。いずれも、肉眼で判断できるレベルを完全に超えており、精密計測と呼ばれています。
精密計測の難しさは結果や誤差が常に一定ではなく、私たちがいるこの空間自体が誤差を生み出す要因に溢れているということです。ものを作るには設計図が必要で、そのとおりに忠実に製造されれば誤差は無いはずですが、実際は必ず誤差が生じます。加工工程で生じる誤差もあるし、製品が完成してから保管される場所の温度や湿度によっても誤差は変わってきます。さらに、測定機自体も一台一台微妙に違うため、そこからも誤差が生じます。そのため、私たちは「このような条件下では、このような誤差が出る」といったことを数多く調査・分析し、データ化しています。
特に精密部品や小型の微細部品などでは、ほんの僅かな誤差が性能に対し大変な影響を与えてしまいます。たとえば自動車部品などの場合、精度が命に関わることにもなりかねません。それくらい重要な研究だと自負しています。

DX教育研究センター、そして県内初導入のデジタルレーザセンサのおかげで、計測の効率が劇的に向上!

DX 教育研究センター(以下、DX センター)ができる以前は、学内のいろんな研究室に個別に測定機が置いてある状態でした。A測定機で計測した後にB測定機で計測するために、学内を行ったり来たりする必要がありました。しかし、DX センターには測定機を一箇所に集約できる測定室を設けたため、計測環境は大幅に改善し、研究を効率的に進められるようになりました。測定機を変えて比較することが容易になったため、多角的な分析をスピーディに行えるようになりました。
また、特筆すべきは緻密な形状を正確に測定できる「デジタルレーザセンサ」を搭載した三次元測定機です。これは県内初導入の設備であり、DX センターはどこにも引けを取らない計測環境になったと言っても、過言では無いのではないでしょうか。

他の先生方の研究を共に高めたい。そして今後は、看護学部とも連携を

私の研究は、例えばアプリを開発する、デジタルシステムを開発するという類いのものではありません。むしろ、そういうことを進める人たちにとって必要な「データの正確性を提供する」ことが私に課せられている最大のミッションです。学内のどんな先生がどんな研究を行うにしても絶対に必要な、後押しとなる「データの信頼性」を提供しているとも言えます。
本学には看護学部もあります。たとえば柔らかいところと硬いところがまばらに存在している人体の計測に関し、高い精度のデータをとることができれば、これからの看工連携につながっていくのではないかと考えています。

高校生の皆さんには「今の自分では思いつけない夢を発見できる、新しい自分」へと、成長してほしい

人は誰でも、自分の想像の範囲でしか夢を思い描くことができません。その想像のフィールドを大きくしてくれる環境、それが富山県立大学であり、DXセンターであると思っています。
実際、高校生や大学1年生のうちは、私の研究に興味が無いという学生が少なくありません。しかし、大学2年生3年生と進み、実験・実習や企業見学、工場見学などの機会が増えてくると、私の研究に興味をもつ学生が増えてきます。計測の重要性を目の当たりにするからなのだと思います。
だから今の自分が思い描く夢を超えたいなら、この環境に飛び込んでみてほしいです。ここは、想像の世界を大きくしてくれる素晴らしい場所です。新しい夢を発見できるきっかけになってくれるかもしれません。
ただし、デジタルに頼りすぎることなくリアルな体験もしっかり行うことが大切だと考えています。リアルな体験から生まれる想像力があって初めて、デジタルな研究を豊かにしてくれると私は確信しています。
一緒に頑張りましょう!

聞き手:事務局 企画・広報グループ


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