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月刊ドンマスMonthly “DON-MAS”

Monthly “DON-MAS” Vol.32
看護学部集中講義「看護ケアとユマニチュード」が実施されました。
3年目を迎えた「看護ケアとユマニチュード」

県大看護学部における教育の特色の一つでもある「看護ケアとユマニチュード」の集中講義が、9/27(月)~9/30(木)の4日間にわたり実施されました。新型コロナウイルスの影響により、昨年に引き続きリモートでの講義となりましたが、充実した4日間となりました。今回、岡本恵里(おかもとえり)基礎看護学講座教授に、本講義についてお話を伺うことができました。

対面で講義や実習が行えた2019年度。

皆さんは、ユマニチュードという言葉をご存知ですか?これは「知覚・感情・言語による包括的なコミュニケーションに基づいたケア技法」のことで、フランスのイヴ・ジネスト先生らによって考案されました。その内容に深く感銘を受けたのが、日本全国の認知症の方やそのご家族へのインタビューにより当事者の語りをつむぎ出すことを研究テーマとしていた本学部長である竹内登美子先生です。私も共同研究者として多くの当事者から切実な声を聞く機会を得ることで、認知症の方々とのコミュニケーションに関心を持ちました。その後2017年より竹内先生の元で看護学部開設準備に携わる機会を得、看護専門科目に「看護ケアとユマニチュード」を組み入れるための準備を進めました。
2019年春、富山県立大学看護学部が誕生し、9月にはイヴ・ジネスト先生をフランスからお招きしました。1期生を対象とした4日間の集中講義では、ユマニチュードの哲学などの講義を受けた後、実習室で細かな技術についてジネスト先生がつきっきりで教えてくださいました。はじめは控え目だった学生たちがどんどん意欲的になっていく事を実感し、ジネスト先生もその変化に驚いていました。

リモートに戸惑いながらも、皆しっかり学んでくれた2020年度。

しかし、2020年からの新型コロナウイルス感染症の拡大によって状況は一変し、私たちの日常から「対面する」ことを奪い、大学の講義もほとんどがリモートを余儀なくされました。遠隔で授業を行うことに戸惑うことも多く、不安に苛まれる中で2年目の「看護ケアとユマニチュード」集中講義を迎えました。ジネスト先生がいるフランス、通訳者がいる東京、そして大学、2学年240名の自宅をネットワークで結ぶ講義に挑戦しました。4月から遠隔授業によって教えてきた看護理論や技術などのノウハウを使いながら臨むことにしましたが、事前に患者に見立てた人形を学生に作ってもらったのもその一つです。
本授業は看護学部全教員で担当しますので、事前にユマニチュードの哲学や技術に関する研修を行っていました。そのため、各講座のゼミ単位でグループ学習を行い、ゼミの所属学生一人一人に、パソコンのカメラ前で学んだばかりのコミュニケーション技術を人形に対して実践してもらいました。担当教員はその様子を見ながら、細やかな指導を行うことや、教員がモデルとなる技術を実演するなど教育方法を工夫しました。試行錯誤による講義でしたが、授業後のレポートでは、対面授業を受けた2019年度入学の学生たちと遜色ないほど質の高い内容が記述されており、学生たちは私たち教員が思った以上に深いところまで学んでくれました。

今年はリモートによる教育が、さらに進化したものに。

今年に入ってもコロナの完全収束といった状況には至らず、7月末にはこの集中講義はリモートで行うことが決定されました。しかし私は前年度の経験を基に「完全ではないけれど、きっとやれる」と、手応えを感じていました。さすがに立位の援助などの技術演習は難しいかなと思っていましたが、今年はテレビの医療番組などにも出演されている、ユマニチュード認定の上級インストラクターを非常勤講師として迎えることができました。ご自身のベッドサイドでの実践映像なども交え、立位や清潔ケアのポイントと注意点などを分かりやすく教えてくださり、学生たちの反応も非常に良く、充実して学べていることがレポートを通して伝わってきました。学内教員や学外の多くの方々がユマニチュードを大切にし、あの手この手で創造的な教育を行ってくれる、これも本学の大きな特徴だと思います。

逆境に負けずに、工夫して取り組むことが大切。

ユマニチュードは、ポジティブなメッセージにより相手に優しさを届けることが哲学の根底にあります。困難な状況となっても諦めず、前向きに捉えることが大切なのです。振り返ってみると、私たち看護学部にとってもこの一年半は、新型コロナウイルス感染症流行という困難な状況との戦いそのものでした。しかし、それに負けずに通常の授業をはじめ、今回のユマニチュードの集中講義も熟考を重ね工夫を凝らして実施しました。それに呼応するように、学生たちもみるみる力をつけてくれました。逆境だからこそ高めることができた部分が私たち教員にも、そして学生たち一人一人にもあったように思います。
最終的には、そういった「強さ」を持った看護師となれるような人材育成を行い、学生には本学看護学部から羽ばたいていってほしいです。県内各病院から「富山県立大学看護学部の学生さんなら、ぜひ来てほしい」と言ってもらえることを目指していきます。

学生たちの学びシート

[1年] 講義の中でいくつもイヴ・ジネスト先生が患者さんに心を開いてもらうシーンがあったが、五つのステップを経て、自分の優しい気持ちを表現し伝えていくことで、怖がらずにケアを安心して受け入れてもらうことができるのだとわかった。ただ単に優しい触れ方でケアをするからいいわけでなく、ケアの前にあいさつや声掛け、お話をすることで、機械でなく人間だからこその看護ケアができるとわかった。今まででは考えつかなかった向き合い方を学ぶことができたので、さらに学び、今後の実習に取り入れて実践もしていきたい。

[2年] これまでの講義を通して感じていたことではあるが、看護師には様々な知識や情報を元に、患者さんが今この状態である理由や問題を解決するための方法など、本当に多くのことを考える必要があるのだと感じた。ユマニチュードにおける考え方というか、患者さんの気持ちの捉え方やケアのアプローチ方法を何となくつかめたように感じている。次の実習が楽しみになった。

[3年] 自分たち学生は、日本の看護系大学で唯一カリキュラムとしてユマニチュードという素晴らしい技術を学ぶことが出来ているのに、いざそれを実習で実践しようとすると、どうしても躊躇してしまうということがある。まだユマニチュードという技術を病院の方が知らないからということもあるし、自分たち学生の立場でそれを語って良いのかという気持ちも確かにあった。しかし、ジネスト先生の講義を聞いて、ユマニチュードが自分たちの知識の一部としてあるからには、それをフル活用して患者が少しでも心地よい時間を過ごすことができるようにするべきだと改めて感じた。


県大生にインタビュー
県立大学のいいところ、教えてください。
先生

授業が分かりやすく、楽しいです。どの先生も真面目で、熱意が伝わってきます。

[医薬品工学科1年 D・Nさん]

仲間

みんな仲が良く、お互いに高めあえていると思います。充実した毎日を送れています。

[看護学科1年 A・Kさん]


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