電気電子工学科(2020年4月新設)

エレクトロニクスで
社会を支え未来を切り開く

電気電子工学の基礎学力を身につけ、応用力と実践力を養い、豊かな創造性と教養を備えた人材を育成します。持続可能で豊かな社会の構築に貢献するため、電子材料、回路、光・電磁波等の電気電子工学の幅広い技術を基礎として、エネルギー、計測システムや制御など様々な分野の教育研究に取り組み、社会の変化に柔軟に対応できる高度な専門技術者および研究者を養成します。


電気電子工学科ホームページ

学科キーワード

  • ■パワーエレクトロニクス
  • ■先端電子材料・回路技術
  • ■無線通信
  • ■イメージング・可視化技術
  • ■ネットワーク・システム制御

教育理念

電気電子工学の基礎学力を基盤として、応用力と実践力を備え、持続可能で豊かな社会の構築に貢献できる、創造的で広い視野と豊かな教養を身につけた人材を育成する。そのために、体系的なカリキュラムに基づき、電気電子工学分野の基礎を習得したうえで専門性を深める。さらに、少人数のゼミや卒業研究に主体的に取り組むことによって課題発見と解決の能力を向上させる。


関連資格

  • ■第一級陸上無線技術士
  • ■第一級陸上特殊無線技士
  • ■第二級海上特殊無線技士
  • ■電気通信主任技術者

想定される進路

  • ■電子部品
  • ■電子機器
  • ■システム開発
  • ■製造業
  • ■情報系 などの企業

講座紹介

■集積機能デバイス工学講座

エネルギーから電子材料と集積回路まで、エレクトロニクスの可能性を広げる様々な研究を行っています。

●パワーエレクトロニクス分野
省エネ社会を実現する次世代パワー半導体の研究


電気は幾つもの送電線や変電所を通りながら家庭に届きます。その途中で電気は何度も変換され、損失(エネルギーの無駄)が生じています。次世代パワー半導体(SiC、GaN)の導入により損失を飛躍的に減らすことができます。
本講座では次世代パワー半導体の一つであるSiCパワー半導体の研究・開発を行います。SiCパワー半導体はSiパワー半導体と較べて数100倍以上の性能向上が見込めます。しかし現状では理論通りの性能が得られていません。その原因の一つはSiC/酸化膜界面での電子移動度の劣化です。本研究室ではSiC/酸化膜界面の移動度問題の解決を目指して研究を行っています。さらに、SiCパワー半導体の設計ツールであるTCADの物理モデルの研究も行います。
※ GaN:窒化ガリウム、 SiC:炭化ケイ素、Si:ケイ素、TCAD:半導体素子の特性をコンピュータで予測・設計するシステム

●デバイス回路分野
先端デバイスと集積回路の融合で新価値創造

様々なモノが繋がるIoT時代には、センシングと通信が非常に重要になります。
本講座では、IoT時代に必須の小型センシングシステムを、センサデバイスから回路と通信までを一貫して取り組みます。研究対象のシステムの特徴としては、宇宙や工場でも使えるように放射線や妨害波に強く高速で低消費電力なアナログ回路と、複数量の同時センシングを行いセンシング結果からある「判断」が可能なインテリジェントセンサデバイスとを組み合わせて、高信頼性で低消費電力なセンサシステムを提案します。この特徴により、従来のセンサシステムより適用範囲を広げられます。そして、このセンサシステムを、MEMSや半導体CMOSプロセスを用いて実際に設計試作して、実デバイスによりシステムの有効性を検証します。

●半導体デバイス分野
量子力学とコンピュータシミュレーションで拓く将来の半導体技術

パソコンやスマホなど数多くの情報通信機器は、半導体で作られた大規模集積回路(LSI) によって構成されています。さらに大規模なLSIでは、数億、数十億の基本トランジスタからできています。本講座では、このような基本トランジスタの超微細化を見据えた数値シミュレーション技術の研究を行います。近い将来、LSIの基本トランジスタはナノスケール(毛髪の直径の1万分の1レベル)に微細化されると予想され、このような基本トランジスタを量子力学的なシミュレーション手法によって解析します。また、現在の基本トランジスタの構造に取って代わると期待される新しい構造の基本トランジスタに関する研究にも取り組みます。

●機能材料分野
新規機能性電子材料の探索と応用

強誘電体・圧電体等の固体中で起こる物理的現象・効果の基礎研究、それらの相互作用を積極的に利用した新しい電子デバイスへの応用研究や開発、それらを支える単結晶、セラミックス、薄膜、厚膜、ナノ粒子、複合材料作製の研究を行います。
機能性電子材料は、組成や構造が多種多様になっており、その特性には無限の可能性があります。分子レベルのナノ結晶から理想的な大型単結晶まで、新しい材料の創製や電子デバイスの実用化を目指しています。具体的には、非鉛系高性能圧電セラミックスの作製、圧電単結晶の育成と高温燃焼圧センサ応用、電子線による薄膜微細加工などを行います。圧電素子による超音波を活用し、養殖魚への刺激効果についても研究を行います。

■電子通信システム工学講座

安全・安心で快適な生活を実現するためには、身の回りのモノ・コトに関する情報を計測する技術と、それをヒトとつなぐ情報通信技術が必要です。これらを支えるために、ブロードバンドな通信技術と光・電磁波計測技術が求められています。本講座では、これらの情報通信・計測技術とシステム制御技術の融合に関する研究開発を進めます。

●光波応用分野
ヒトの視覚を支援するスマートな光計測デバイスの研究

製造業や農林水産業の現場で作業者の判断や労働を支援するシステムを構築するためには、スマートな機械の「眼」が欠かせません。この眼にはヒトの視覚機能を超える超ワイドバンド性(紫外から可視、赤外までを捉えることができる)と、高波長分解性(細かな色の違いを識別できる)、構成素子のコンパクト性が必要になります。
本講座ではこのような機能を有する眼、すなわちマルチスペクトル・イメージングデバイスを、微細加工技術を駆使して創造する研究と、画像化のための信号処理技術の研究を進めます。
また特に近赤外光を利用して、物質の内部に含まれる成分の量・性質やそれらの時間変化を非破壊で計測する技術、現場での応用計測に向けた装置の開発にも取り組みます。

●電磁波応用分野
宇宙から地上までの領域における高機能な電磁波応用研究

写真:JAXA提供

ヘルツによる電波の実証実験から130年余、電磁波は欠くことのできない社会基盤の一つとなっています。
本講座では、宇宙から地上まで電磁波環境を調査するための観測ロケットや科学探査機に搭載する電波観測システムの開発や、3次元コンピュータ・シミュレーションを用いた自然電磁波の解析及び無線通信・計測システムの研究開発を行います。また、電磁波による位置情報取得技術を応用した、人・モノの位置情報推定に関する研究開発にも取り組みます。さらに、ネットワーク技術の開発や地理情報(GIS)を利用した各種災害発生時の避難支援システムの研究を進めます。

●システム制御分野
超スマート社会を実現するシステム制御の研究

「超スマート社会」とは、電力、エネルギー、交通、水道、経済など異種からなるネットワークに対して、IoTを活用した連携による便利で安心な未来社会を意味します。本講座では、超スマート社会を実現するためのシステム制御の理論と技術に関する研究開発を行っています。特に、環境や農業といった視点も取り込むような新しい超スマート社会を目指しています。
・電力・エネルギー運搬の視点から電気自動車をとらえ、配電系統の電圧・周波数管理や都市の経済活動の活性化に貢献する研究
・大規模な農場に対して複数台導入された比較的安価な耕作機械の耕作経路やセンシングのアルゴリズムを開発することで、農作業の安全化や農場の環境に対する耐故障性に貢献する研究


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