機械システム工学科
教授

脱炭素社会実現に向け、自動車等のモビリティの軽量化技術開発やガソリン車から電気自動車等の環境適応車への転換に不可欠なパワーエレクトロニクス技術開発に貢献するキーマテリアルとしてポリマー系コンポジットが注目されています。私たちの研究室では、樹脂材料における無機微粒子の分散状態をメゾ~ナノスケールで制御した革新的コンポジットの創製と特性評価に関する基礎研究を展開しています。具体的には,以下に記した物質の表界面やコロイド粒子の物理化学を学理とした無機ナノ粒子分散技術を基盤とした研究を実験とシミュレーション解析の両輪で進めています。
フィラーの表面改質による分散性向上を前提とした従来型調製法から180°転換したポリマー中への表面非改質ナノフィラーの新規分散技術を確立しました(下図参照)。


表面非改質親水性シリカ/フッ素樹脂系ナノコンポジットにおいて高弾性率を達成しながらも破断伸びの低下を抑制することに成功しました。

母相と界面はく離し易い親水性表面を有する無機超微粒子フィラーの分散によるポリマーの耐衝撃特性向上(下図参照)を目的とした親水性ナノシリカ/ポリプロピレン系コンポジットの調製と力学特性評価に関する研究を実施しています。

表面非改質親水性シリカ/エポキシ樹脂系ナノコンポジットにおいて,シリカ/母相間界面相互作用により複合則に基づく予測を凌駕した熱膨張抑制(低CTE化),ならびに耐熱性向上(高Tg化)を達成しました。

六方晶窒化ホウ素(h-BN)ナノフィラーと形状・寸法の異なる無機微粒子をh-BNと併用充填することによるエポキシ樹脂系コンポジットの効率的高熱伝導化(下図参照)を目的とした本系コンポジットの調製と熱物性評価に関する研究を実施しています。

サブミクロンサイズのアクリレート系ラテックスと無機ナノ粒子の大小コロイド粒子の自己集積化を活用した無機/アクリル樹脂系透明コンポジット膜の調製および規則的微視構造形成の可能性の検証に関する基礎研究を実施しています。

上図の方法で実現可能なコンポジット内の屈折率調整用無機ナノ粒子の規則的な配列により,母相であるアクリル樹脂の屈折率が大きく変化することが明らかとなり,アクリル系光学樹脂の屈折率制御の有効な技術となり得る可能性を見いだしました。
