教員・研究室紹介

機械システム工学科

教授

坂村芳孝YOSHITAKA Sakamura

研究分野
熱流体工学、衝撃波工学、航空宇宙工学
キーワード
圧縮性流れ、極超音速流れ、衝撃波、大気圏再突入、数値流体力学
研究室URL
https://yoshisaka.gitlab.io/blog/
坂村芳孝教授

研究内容

大気圏再突入時の空力加熱

宇宙機が惑星の大気に突入・再突入する際に音速の20〜35倍(8〜12 km/s)に達し、機体前方には衝撃波が発生して気流が急激に圧縮・加熱されます(最大2〜3万K)。この高温気流による空力加熱から機体や乗員を守るため、熱防御システムは宇宙輸送の設計において極めて重要で、将来の宇宙活動を支える技術とされています。

空力加熱は気流の速度と温度分布に依存するため、正確な予測には両者の把握が不可欠です。しかし、高温環境では分子の化学反応や振動励起により気体の性質が変化し、数値シミュレーションが困難になります。特に高高度では、これらの現象が緩やかに進行し、気流速度と同程度になるため、熱・化学的非平衡流れとして扱う必要があります。

私たちの研究室では、この非平衡流の数値シミュレーションを通じて、気流と化学反応・振動励起の連成現象を研究しています。

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衝撃波によって誘起される物体の運動

衝撃波は爆発や放電などで急激にエネルギーが放出される際に発生し、高速気流とともに周囲に伝播して構造物を破壊したり物体を飛散させたりします。爆発事故の危険度を評価するには、飛散物の軌道予測が重要です。

衝撃波と衝突した物体は力を受けて運動し、その運動が周囲の流れを変化させ、さらに物体に働く力も変化します。このように、物体と流体の運動は密接に連動しており、相互作用を正しく考慮しなければ軌道予測は困難です。

本研究では、衝撃波によって誘起される物体の運動を予測するソフトウェアを開発し、衝撃波管実験と比較してその有効性を検証しています。

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解適合格子細分化法を用いた衝撃波の数値シミュレーション

衝撃波は超音速流れに現れ、その前後で物理量が急変します。これを数値シミュレーションで精度良く捉えるには、衝撃波付近の計算格子を細かくする必要があります。特に非定常問題では衝撃波の位置が予測できないため、全体の格子を細かくすると計算負荷が増大します。

この課題を解決するため、衝撃波周辺のみ格子を細分化する「解適合格子細分化法」が提案されています。この手法では、衝撃波の位置を検知し、その周囲に格子点を追加し、移動後の不要な格子点を除去することで、効率的な格子配置を実現しています。

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主な研究業績

  • Sakamura, Y. & Nakayama, K., Numerical study of blockage effects on shock-induced motion of a solid body in a shock tube. In: Myong, R.S., Kim, H.D. (eds) Proceedings of the 34th International Symposium on Shock Waves, Volume 3: Applications 2. ISSW34 2023. Springer, Singapore, (2025). https://doi.org/10.1007/978-981-96-4775-0_20
  • Oshima, M., Nakayama, K. & Sakamura, Y., Development of a novel shock tube system to study shock-induced motion of a solid body. Shock Waves 35, 185–189 (2025). https://doi.org/10.1007/s00193-025-01216-6
  • Sakamura, Y., Nakayama, K. & Oshima, M. , Numerical simulation of shock-induced motion of a cuboidal solid body using the overset grid functionality of OpenFOAM. Shock Waves 31, 583–595 (2021). https://doi.org/10.1007/s00193-021-01035-5

主な装置

  • 衝撃波管
  • 計算機

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