【第10回シンポジウムの開催にあたって】

 生命科学研究者の肩肘張らない交流を目指してはじめた本シンポジウムが、10回目を迎え、節目の会を富山で持てることは大変光栄です。今回も様々な分野のトピックを愉しみ、視野を広げ、研究への渇望を高め合い、笑顔で解散する会にしたいと思います。2008年の冬に氷見市でささやかな第一歩を踏み出した本会は、毎年参加者の輪を広げながら、今や北陸ならではの会として定着するに至りました。その過程は、同地区における生命科学研究の興隆と軌を一にしており、大変喜ばしく、また頼もしく思っています。一方で授業ノルマ・大学行事・他の学会合を気にしつつ、日取りを決めることは年々難しくなっています。例年どおり定評のある保養地を開催場所に選びたかったのですが、今回に限っては前半の口頭発表を富山県立大学で行い、夕方から近くの宿泊施設に会場を移すことで、この問題を解決しました。改めて、本会運営の襷を繋いで来られた幹事諸氏のご尽力と、皆様の温かいご支援に、厚く御礼申し上げます。  

 さて、例年東京方面から何名かご参加いただいていますが、今年は東京大学生物生産工学研究センターと一緒に会をお世話します。本会を高く評価して頂いた上でのお申し入れですので、二つ返事でお願いしました。この「出稽古」を通してどのようなヒューマン・ケミストリーが生まれるか、大変楽しみにしています。  

 ところで後半の会場が立地する旧婦負(ねい、と読みます)郡婦中町は、神通川とその支流に抱かれた自然豊かなベッドタウンとして発展中です。高峰譲吉が設立した東京人造肥料会社が発展した日産化学工業の大工場があり、神通川で発電された電力を使って100年近く前から富山県の工業化に貢献してきました。一方では、日本最初の四大公害病であるイタイイタイ病の被害地でもあります。カドミウム汚染の災禍は、未だに当地を苦しめるばかりか、むしろ国内外で燻り始めています。最近では、富山市から神通川流域を通り高山市に向かう街道は「ノーベル街道」とも呼ばれており、図らずも健康への貢献とグリーン・テクノロジーを志向する私たちがこの地に集うことは、偶然ではなく天命のような気がしてなりません。本会での出会いが、どんなに小さくとも皆様の研究によいインスピレーションを齎しますよう、切にお祈り致しております。

第10回北陸合同バイオシンポジウム 実行委員長
浅野 泰久


【主催】:富山県立大学生物工学研究センター
     福井県立大学生物資源学部石川県立大学生物資源工学研究所
     石川県立大学生物資源工学研究所
     東京大学生物生産工学研究センター
【共催】:公益社団法人 日本生物工学会中部支部
     公益社団法人 日本農芸化学会中部支部
【後援】:公益社団法人 富山県ひとづくり財団


【世話人会】: 奥 直也(代表世話人)、日比 慎、西田 洋巳(富山県立大学)
        青野 俊裕、白石 太郎、西山 真(東京大学)
        黒川 洋一、伊藤 崇志(福井県立大学)
        栗原 新、小栁 喬(石川県立大学)