富山県立大学ニュースNo.52(2001/7)より
 
研究室紹介
 
短期大学部 環境工学科 奥川研究室
 
環境中でいろんな物質が,どこで発生して,どこへ移動していくのか,どこに蓄積しているのか,またそれを数学的なモデルで表現するといったことを研究しています.
 
現在,研究対象にしている物質は多環芳香族化合物という物質です.有機化学を学んだ人なら少しは覚えていると思いますが,炭素6個が正六角形に結合したベンゼン環がいくつも結合した骨組みを持っています.この化合物は石油や石炭などを燃やしたときにできる煤(すす)の成分ですので,最も簡単な炭素と水素のみからできている多環芳香族炭化水素だけでも大気中から100種類以上検出されています.最近,ディーゼル車の排気ガス中の粒子状物質が大問題になっていますが,粒子状物質というのはこの煤のことです.
 
多環芳香族化合物の一部には発ガン性があり,また内分泌攪乱作用(いわゆる環境ホルモン)が疑われているものもあります.代表的なものにベンゾ[a]ピレンというのがあり,昔からよく研究されています.煙突掃除人に陰嚢ガンが多かったため研究され,煤の中から検出されたのが始まりです.この話は有機化学のテキストのコラム欄などにもよく紹介されています.
 
もう一つ注目していることに変異原性という毒性の一つがあります.変異原性というのは遺伝子のDNAに傷を付けて突然変異を起こす性質のことで,発ガン性と関連があります.環境中には多環芳香族化合物だけでもたくさんの種類があって,全部化学分析で調べることは実際上不可能ですので,多くの物質の複合効果を変異原性で評価しようとしています.
 
今年度,当研究室では降水の変異原性や多環芳香族炭化水素の含有量を詳しい調査で調べたり,土壌や溜池の底泥,プランクトンや魚介類など生物に蓄積されている多環芳香族炭化水素を調べる予定にしています.ホームページでも当研究室の紹介をしていますので,一度ご覧になってください.
 
 
 
奥川研究室 | 環境工学科