1.フッ素 

スリランカの北部中央州や南部地域の乾燥地帯では飲料水を地下水に頼っているのですが、地下水にフッ素が含まれていることにより、健康被害が生じています。

写真の子供は歯が茶色くなっていて、フッ素による斑状歯と呼ばれる症状です。骨にも影響が及び、骨フッ素症と呼ばれています。また、スリランカで多発している原因不明の腎臓病とフッ素との関係も疑われています。当研究室では次の研究を実施しています。
(1) 現地の井戸水の水質を調査
(2) フッ素の除去技術の開発

1-1 水質調査

 

現地での調査風景です。住民は飲料水の安全性に関して関心が高く、調査を行っていると多くの人が自分の家の井戸水を持ってきて分析を依頼されます。簡易なフッ素分析法を用いて、水質の良し悪しをその場で住民に伝えます。近隣にフッ素濃度の低い井戸がある場合にはそれを飲料用に用いることを勧めます。そのことだけでフッ素症を軽減することができます。

サンプルは現地でろ過をし、水質を安定させたのち日本に持ち帰り、多くの成分を分析します。一度スリランカに行くと100-200個のサンプルを持ち帰ります。各サンプルにつき大体25項目ほどの分析を行うので、2500-5000程度の分析データを得ることになります。2013年7月までに約800か所の調査を終えました。今後、調査井戸が1000に達した段階でフッ素、硝酸イオン、硬度、重金属などの分布を記したマップを作成し、現地に配布することを計画しています。

1-2 フッ素除去技術
1-2-1 鳥骨炭
近隣にフッ素濃度の低い井戸が見つからない場合にはフッ素を除去する必要があります。当研究室では下の写真のように鳥の骨を炭にしたもの(鳥骨炭)を用いてフッ素の除去を試みています。骨炭を用いるのは吸着能力に優れているからで、スリランカの飲料水基準である0.6mg/lを十分に下回る濃度にまで低下させることが可能です。また、鳥骨を用いるのは宗教上の問題が少ないからです。

鳥骨炭

下図は10mg/lの濃度のフッ素を含む溶液250mlを骨炭3gで処理した時のフッ素濃度の変化を示したものです。このようにフッ素濃度は徐々に低下し最終的にほぼ0にまで除去可能です。

この骨炭を詰めた筒状のフィルターを現地の家庭に設置し、性能を確認しています。必要な量の水を上部の漏斗から入れると処理された水が蛇口から出てくるようになっています。

フッ素濃度が1.8mg/lの水を1日8?(4人家族の使用量)処理するとして、約4か月間フッ素濃度を0.6 mg/l以下に保つことが可能です。

1-2-2 電解による方法
素焼きのポットの内外に井戸水を入れ、電流を流すとマイナス極側からは陰イオンが排除されます。すべてのイオンが同じように排除されるわけでは無く、下図のようにフッ素イオンが選択的に排除されます。同時にマグネシウムイオンが減少することが特徴です。フッ素と硬度を同時に除去できる手法として研究しています。

このような研究成果を地元に還元するために毎年ペラデニヤ大学でシンポジウムを開催しています。2013年までに5名の当研究室学生が発表を行いました。



研究発表の後はほっと一息。世界遺産をめぐります。


アヌラーダプラの仏教遺跡(世界遺産」)

キャンディの仏歯寺。スリランカ仏教の聖地(世界遺産)

シーギリヤ(世界遺産)

シーギリヤの岩山の上でコロンボからきた学生と記念写真

スリランカのもう一つの楽しみはフルーツ。下の写真の赤い実はランブータン。中に白い身がはいっていて、とても美味。1kg 80円ぐらい。

これはバナナ屋の写真。





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