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【植物機能工学講座の教育・研究に向けて】

 地球上の高等生物は、植物によって作り出される糖類を活動のエネルギー源としています。私たち人間でいえば米、芋、麦、トウモロコシなどの主食とよばれるものがそれに値します。また、ほとんどの生物は、植物が発生する酸素も生命活動を営む際には必須です。すなわち、私たちは植物がなければ生活できないといえるほど、植物は地球上において大切なものです。

 植物はこれらの糖類をはじめとして様々な物質を作り出す特有の代謝機能を有しています。例えば、光合成は太陽光のエネルギーを用いて空気中の炭酸ガスを固定し各種の糖類などを作り出す(炭酸固定)とともに、酸素とエネルギー(ATP)を生産するシステムです。このプロセスは地球上も最もクリーンでかつ効率的なエネルギー、物質生産システムとしてあまりにも有名です。また、土壌中や空気中の無機窒素を利用して(窒素固定)、アミノ酸を合成してタンパク質を作りだし、植物性タンパクとして蓄積しますし、成長の過程においては、花や野菜の色に代表されるような色素や、甘み、辛み、酸味など独特の風味を作り出します。さらには抗菌性物質、自身の成長を調節する植物ホルモンなどの二次代謝産物と呼ばれる有機化合物も多数作り出します。これらの物質は、他の動物、微生物植物のみならず私たちにとって非常に有用であり、食品・医薬品・各種工業原料として用いられています。すなわち、植物(plant=プラント)は、天然の物質合成工場(plant=製造工場)でもあるのです。

 植物は、種子の発芽からだけではなくて、葉、茎、根などすべての体細胞があらゆる組織に分化して、完全な植物体を形成し得る能力=分化全能性を持っています。分化全能性は他の動物、昆虫などの高等生物にはほとんどみられない植物特有の機能であり、これを利用することで、農業分野では優良品種の固定や育種、稀少種の保存などが盛んに行われています。また、分子育種、いわゆる「遺伝子組換え」技術によって、植物の成長メカニズムを解明したり、遺伝子の機能解析をしたり、植物の形質をより有用なものに改変したりすることが可能となっています。

 植物は他の生物とは異なり、自分自身では移動できないという特徴があるので、このように特殊な代謝能力や分化全能性を駆使して何億年もの間生存し続けています。植物機能工学講座では、このような植物特有の機能に着目し、植物組織織培養と分子育種技術による植物機能改変、植物特有の代謝機能解明と応用、さらには植物バイオマスの利用研究を行っています。